読後の余韻「小さいおうち」書評

直木賞作品の本作は、女中タキの語りで進められるストーリーですが、最終章で‥。捲る手が止まらない上質の小説。

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「小さいおうち」あらすじ

わたしにしたところで、つらい思いをしなかったわけではないが、はて、仕事というもので、どこもつらくない、楽しいばかり、ということがあるだろうか。

直木賞作品の本作は、軽妙な文体でリズミカルに入ってくるとても読みやすいです。読点は多いものの、歯切れのよい長さとコトバですらすらと読めてしまいます。大胆な展開こそありませんが、不思議とページをめくる手が止まらない。名作にはこういう不思議な雰囲気がどことなく漂いますが、まさにそんな感じです。

あらすじとしては、女中のタキが若く美しい時子と出会うところからはじまります。モダンな都会で生活していく中で、彼女は時子に秘められた切ない恋を見、そしてそれが意外な形で現代に引き継がれ、最終章で明かされるタキの秘められた思いは‥。

タキの回想という形で物語は進んでいきますが、平凡な日常と後の語られる戦争との対比、活き活きとした人物描写、昭和と現代を絶妙に交差させながら進められていく圧倒的な構成力、どれをとっても上質の作品としてオススメ。そして、優しく訪れる余韻に浸って下さい。

映画「小さいおうち」は山田洋次監督がメガホン

小説「小さいおうち」は、2014年1月公開予定で撮影が始まっています。監督はあの山田洋次監督で、監督自ら著者に手紙を送って映画化が実現したというほど。

キャストは主人公のタキ役に、黒木華さんを起用。黒木華さんは、NHK朝の連続ドラマ「純と愛」、フジテレビの「リーガル・ハイ」などにも出演している、今注目の女優さんです。

その他にも、松たか子さん、片岡孝太郎さん、吉岡秀隆さん、妻夫木聡さんなどが出演し、そして音楽は久石譲さんという豪華キャストです、いやがおうにも期待してしまいます。

山田洋次監督は、「男はつらいよ」「学校」など人情や家族の絆といったテーマを扱うことが多いですが、今回はロマンスということで、こちらもどんな仕上がりなるのか楽しみな方も多いのではないでしょうか。

中島京子とは

中島京子さんは、1964年東京生まれの小説家です。

出版社勤務、インターンで渡米を経て、フリーライターとして活動。2003年に小説家デビューを果たします。後に、野間文芸新人賞候補、吉川英治文学新人賞候補を経て、2010年「小さいおうち」で第143回直木賞を受賞します。

山田洋次監督が「何ともいえない色気の向こうに、ドキドキする不安や罪が隠されている。こうしたタイプの作品は初めて」と称した本作に、ぜひ触れてみて下さい。

小さいおうち/中島 京子

小さいおうち/中島 京子

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