人気漫画「ドクシ-読師-」感想、大人も唸る上質な演出、BookLive!で1巻が無料

2013年8月号で最終回を迎えた人気コミック「ドクシ-読師-」が、10月30日までBookLive!で1巻無料です。

アマゾンリンク

樋口大輔とは

樋口大輔(ひぐちだいすけ)さんは、1966年群馬県生まれの漫画家です。

追記:2015年11月16日 BookLive!で無料お試しも読めます。
>>ドクシ-読師-(1)

名前は男性ですが、樋口こそ本名ですが自身は女性です。作品を読むとすぐにわかりますが、女性ならではの、男性キャラの描き込みや丁寧な心理描写や人物背景の練り込みが魅力です。

1992年に、週刊少年ジャンプに初投稿した「イタル」が増刊号に掲載されます。そして、同年に「Singing Flame」という作品で、なんとあの手塚賞佳作を受賞します。

以後、週刊少年ジャンプや月刊ジャンプなどを中心に、多くの作品を発表します。

そして、2003年に連載が始まったサッカー漫画「ホイッスル!」はアニメ化をされます。その丁寧なキャラクターづくりが、男性だけでなく女性ファンからも慕われ人気を博しました。

本作「ドクシ-読師-」は、2009年からコミックバーズにて連載が始まり、2013年8月号で終了。紙の本で10巻が最終巻となっています。電子書籍版は配信が9巻まで。配信が待たれますね。

「ドクシ-読師-」1巻のあらすじ

6年前の航空機事故の生き残りである高校生・霞士朗。彼は事故で失った右目と引き替えに<過去を視る能力>を手に入れ、その力を使って母を手にかけた殺戮者を探し出す事だけを願い、孤立して生きようとしていた。だが、彼の過去を知りその身を案じる刑事・樫村やゴシップライター・水沢に出会い…!?

物語は、彼の力を仕事に活かそうとするルポライター水沢との行動から始まります。この水沢にも過去があるようなのですが、1巻ではまだ明かされません。

作者はすでにアニメ化された人気作品も手がけるほど。安定したタッチと表現は大人も安心して読めます。それぞれのキャラクターもしっかり立っていて、それぞれの魅力があります。

1巻では4話で事件を1つ解決、5話で新たな事件が起こり‥というところで終わります。

キャバクラ嬢の愛美が何者かによって殺される。世間では、麻薬絡みのいざこざで片付けられるようするが、士朗は以前に彼女と会ったことがあり‥。

物語は、それぞれの人物の回想シーンを織り交ぜながら、出会いとともに進んでいきます。そして、犯人は別件逮捕されるものの容疑を否認します。しかし、そこで士朗達はある手がかりを見つけ‥。

5話では、士朗の学校に爆破予告がされます。士朗はある黒い影をサイコメトリーで見つけますが、それは一体何なのか、そして爆破を止めることが出来るのか。

この感想を読んだあなたは、過去視というギミックがあるだけで何て在り来りなんだろう、と思われるかもしれません。しかし、それは私の伝え方が稚拙というだけです。読み始めればきっと、その自然な展開と、人物描写に惹き込まれていくはずです。

演出や表現の上手さが上質な叙情的空間を描く

「ドクシ-読師-」初めて読んだ日は、他の人気コミックも読んでいました。しかし、こちらを読んだ瞬間、ページを捲る手が止まらなくなりました。そして、続巻が激烈に読みたくなりました。こんな気持ちは久しぶりです。

なぜこんなにも自然に読みいってしまったのか。

オヤジ世代の私が、主人公である高校生・霞士郎、イケメン・ルポライター水沢、刑事・樫村、そして、主人公は過去を視ることが出来る過去視の持ち主、という世界観にすぐに共感できるのか、と正直自分を疑いました。しかし、止まらないんです、ページをめくる手が、ほんとに。

しかし、よく考え、何度も読み返してみると気が付きました。それを感じさせない演出や表現が、極めて技巧的で丁寧なことに。そういった考えられた演出が、読者を自然とその世界に誘ってくれるのです。

例えば、下の場面切り替えのシーン。縦につなげてしまっていますが、ページと書かれた文字は説明のために私が追加しました。

下図の前には残忍なシーン、そしてその後に、やわらかく降り始める雪という対比。その雪を、また違った場所で見る2人の刑事、詩を絡め、より柔らかい表現に、かつ、実はこのセリフ、後の展開に関わってきます。

絶妙な場面転換

1つ1つの流れが自然であり必然性があります。そしてその構図も意味があって、そのアングルになっていることが、読み返すとわかります。何とも叙情的で映画的な演出なのでしょう。

だからこそ、自然にその世界観に引きこまれ、かつ重厚に練られた人物背景と、自然かつ必然性のあるセリフ回しに、見入ってしまったのだと分かりました。たまたまスイッチを入れTVを見たら、再放送の2時間ドラマや映画が面白くて、時を忘れつい見入ってしまったそんな感じです。

セリフも、いかにもその人を知っているかのような、リアルな、そして共感しうる生々しいものです。飛行機事故で身寄りが亡くなった主人公、そんなまれな境遇の人が言うセリルなんて、どうやったら思いつくのか、でもそれがとてもリアルで本当に凄いです。

漫画家生活20年を超える、そんなベテランの樋口大輔さんだからこそ描ける珠玉のダークミステリーだと思います。

10月30日までBookLive!で1巻が無料配信

元々は無料配信作品の1つとして、何も考えずダウンロードしたのですが、感想としては純粋に面白かった。ホント、こういう作品に巡りあうことができて良かったなあと思います。

BookLive!では、10月30日まで無料で配信しています。ぜひ、あなたも樋口大輔さんが描く叙情的な表現に触れてみて下さい。大人も読める上質なダークミステリーです。

ドクシ―読師― (1) 樋口大輔 / BookLive!
ドクシ-読師-感想

無料お試しも読めます。
>>ドクシ-読師-(1)