溺れる花火

透明感のある丁寧な心理描写、そしてクライマックスの衝撃「溺れる花火」

峰浪りょうさんがつむぐ若い男女の恋と欲望の物語。モバイルという制約の中でもここまで読ませる表現力に驚き。

アマゾンリンク

溺れる花火
2巻完結で一気に読める恋愛サスペンス。官能的な従姉妹の織りなすエロスと緻密なストーリーを堪能したい方へ。

漫画「溺れる花火」あらすじ

主人公の泳太は、病弱の彼女、小秋と肉体関係の無いまま、高校時代から恋愛関係を続けて来ました。そこに、従姉妹である夏澄が現れ物語が展開していきます。

20歳前後という恋愛感情と欲望に揺れ動く青年の心情を、透明感のある描写で丁寧に描いています。そのクォリティは、多くのレビューサイトで共感の声が寄せられているほど。

1巻では、主に小秋と夏澄との間で揺れ動く泳太の心情を軸に、そして、最終巻である2巻では、小秋と夏澄とそして更に、さまざまな人物が絡みあいクライマックスを迎えます。2巻は二転三転するストーリーに引き込まれる展開にページを捲る手が止まらないことでしょう。

終始、キービジュアルとして花火が描かれています。現実に、花火が溺れれば当然ジュッと、こじんまりした音がして、その艶やかな光は消えてなくなるわけで、物語もその危うさを見事に表現しています。
 

モバイルに特化した表現

じつはこの漫画は、モバMANというモバイルコミックでの連載が単行本化・電子書籍化されたものです。したがって、漫画特有の「見開き」という表現手法を用いていません。

見開きは、圧倒的な迫力を読者につきつけ、作品に引き込む手法ですが、それが無いとどうなるのか。答えは皆さん自身がこの漫画を読んで見つけて下さい。
 

「溺れる花火」個人的な感想

彼女がいながらも揺れる気持ちを軸とした展開は、TVドラマにもなりました名作「幸せの時間」で有名な巨匠 国友やすゆきさんの作品を彷彿させるほど(こちらは家庭や地位という軸ですが)。一方で今時の大学生の生活感を、しっかりと描写していて、共感できる人も多いのではないでしょうか。

幸せの時間: 1 (Action comics)/国友 やすゆき

幸せの時間: 1 (Action comics)/国友 やすゆき

事前のポイント購入で最安になることも多いBookLive!がオススメですよ!v(^v^)

人によっては、泳太君は男性不信にも陥るほどの、ぶれぶれのダメ男に見えてしまうでしょう。しかし一方で、恋愛も欲望もまじめに考える男性にとっては、泳太君を身近に感じられることでしょう。

物語ではいちおうの恋愛模様の結末は描かれていますので、共感を覚える男子諸君にはぜひとも、最終的な泳太君の姿を確認して頂きたい。

ボリューム的には2巻くらいで一気に読めて丁度良いと思いました。一方で、いわゆるこういう恋愛物にお約束の3枚目キャラというかボケ役もいるはいるのですが、さすがにその短さではそこまで存在感を出すには至っていません(要所要所ではキーにはなっていますが)。ちょっと重めな恋愛モノが苦手な人、軽めな恋愛モノを期待する人にはそこはネックかもしれません。あとまあ泳太君はモテすぎだろー、というのも無しですよ。

それでもぜひクライマックスの衝撃を、見届けてほしいと思います。そしてもう一度最初から読んでみて下さい、なんと・・・。

泳太も、小秋も、そして夏澄も、それぞれが花火のように燃える思いがあっての行動ですので。

溺れる花火(1) (ビッグコミックス)/峰浪りょう
溺れる花火(2) (ビッグコミックス)/峰浪りょう

追記:2015年11月25日 峰浪りょうさんの作品、こちらも話題です。

ヒメゴト~十九歳の制服~(1) – 峰浪りょう

ヒメゴト~十九歳の制服~(1) - 峰浪りょう
BookLive!で詳しく見る